2025/02/01 古代エジプトの棺と埋葬 その来世観とは?
最初は、陶棺がたくさん展示されていました。今回の展示は、「蓋が発見
された状況」、「蓋を取り除いた状況」の写真付きでした。

陶棺は、マルカタ南遺跡の魚の丘彩色階段で発見されたもので、石棺は身分の
高い人、木棺は様々な身分の人に利用され、陶棺は身分の低い人が入れられ
ました。そして、木棺は、第3中間期以降になると造営されず、地面に
そのまま埋めるだけとなっていました。

陶棺(No.418)は、全体的に白く、茶色でロータスが描かれていますね。
シンプルだけど奇麗です。棺の頭は崩れていますね。蓋を取り除いた状況は、
白骨化した遺体が入っていますね。

陶棺(No.201)は、割れているけど、顔はしっかり残っていますね。
棺に乳首みたいなものがあったので、女性が入っているものだと思っていたら、
壮年~熟年の男性でした。

陶棺(No.605)は、割れた跡が多いですが、だいぶ復元されていますね。
陶棺(No.607)は、割れているが、形はなっていますね。そして、中にはミイラ
がありますね。陶棺(No.202)は、わずかに顔が残っていますね。

アンフォラは、白くて割れていますね。魚の丘では、陶棺の他にアンフォラが
4つ発見され、陶棺もアンフォラもプトレマイオス朝のものでした。

陶棺(No.417)は、顔が残っていますが、だいぶ風化してますかね。
陶棺(No.102)は、顔が残っており、不思議な表情でした。2つとも蓋を取り
除いた状況は、白骨化した遺体が入っていましたね。

陶棺(No.420)は、全体的に白くて、左右に薄い茶色でロータスが、中央に
青い色でアンク(生命)、ウアス(支配)、ジェド(安定)の文字が
ヒエラティックで書かれていました。だいぶ色が薄くなっていましたが、
蓋が発見された状況では色鮮やかですね。

あと、化粧用パレット、マスカラ棒、装身具、小さいシャブティが展示されて
いました。特に小さいシャブティが可愛かったです。カバの像は、青と緑の
中間ですね。粉を挽く女性は、古王国時代のもので、写実的で奇麗でした。
ビールをつくる女性は、古王国時代のものですが、色がはっきりしていて
シンプルだけど奇麗でした。

カノポス壺の蓋は、白くて顔がはっきりしていて表情は凛々しい感じがします。
新王国時代の王家の谷55号墓から発見されて「キヤ王妃?」となっていました。
KV55(王家の谷55号墓)といえば、異端の王アクエンアテンが冒涜された形で
発見され、名前と顔が右目を残して削り取られた棺が納められて、その中に
白骨化したアクエンアテンのミイラが入っており、あとはカノポス壺と
壊れた厨子が発見されたのだったと思います。それにしても、KV55から発見
されたものがあるとは思いもしませんでした。

男性のミイラ布は、絵が奇麗なのですが、断片なので、何なのか分かるような
分からないような感じでした。ローマ支配時代のものです。
女性のミイラ布は、ハトホル女神と同化した被葬者が中央に描かれています。

ミイラ布は、新王国時代以降に死者は包帯で巻かれた後、ミイラ布と呼ばれる
装飾された布に包まれます。第3中間期になるとオシリス神と死者の名前と
称号が書かれ、プトレマイオス朝になると、網状装飾の服に身を包んだ死者が
等身大に描かれるようになります。

「最後の審判」のパピルスは、審判の様子がよく分かるように生き生きと
描かれていますね。そして、本当に奇麗です。文字はヒエラティック
ですかね?

あと、写真ですが、アビドスである第2王朝のカセケムイ王墓の西側に
土器が堆積しておりました。こんなのがあったんだと思いました。
アビドス巡礼についても書かれていました。

ダハシュール北遺跡についても書かれており、第18王朝末期の「王の書記」
イパイの墓の礼拝神殿(トゥーム・チャペル)あたりから、セヌウの
ミイラマスクや木棺が発見されたことが書かれていました。

セヌウの木棺は、黄色が基調で青でヒエログリフが書かれているのが奇麗です。
中王国時代のもので、当時ミイラマスクをつけたミイラが入っている状態を
再現していました。こんな風に入っていたのだなと思いながら見ていました。

子供の棺は、新王国時代のもので、小さくて絵がないですね。写真では、
頭蓋骨が入っていましたかね。

こうして見ていると、古代エジプト人は、このようにして埋葬されていたの
だなと思いながら見ていました。様々な陶棺は興味深かったですし、
新王国時代以降に「ミイラ布」というものが使われていたのだなと思いました。
そして、ミイラ布が新王国時代、第3中間期、プトレマイオス朝と時を経る
ごとに描かれている物が変わっていくその変遷が興味深かったです。
カノポス壺の蓋や「最後の審判」のパピルス、セヌウの木棺は、圧巻で
良かったです。
write:2025/02/07 rewrite:- update:2025/03/11


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