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56.プトレマイオス朝という奇跡 | ||
古代エジプトもピラミッド、ツタンカーメンを経て、紀元前10世紀頃になると 王権が衰退し始めます。そして、エジプト人以外のファラオ(王様)も この頃から登場してきます。リビア人、ヌビア人、ペルシャ人などなど、 そして最後の王朝のプトレマイオス朝では、ギリシャ人の王朝が誕生します。 そして、このプトレマイオス朝の存在こそがまさに奇跡だったりします。 なぜなら、この王朝がロゼッタ・ストーンを残してくれて、それが1799年に 発見されたことによって、古代エジプトの象形文字「ヒエログリフ」解読への 道が開かれるからです。 ヒエログリフはすでに紀元4世紀には使われなくなっており、キリスト教が 広まる中で「異教の文字」と見なされ、忘れ去られていきました。 古代エジプトの神殿や碑文は残っていましたが、その意味は次第に不明に なっていきました。中世ヨーロッパ(5〜15世紀)では、ヒエログリフは 実用的な「文字」としてではなく、「象徴や神秘の記号」として理解されて いました。なので、解読の精度はほぼ誤解でした。 ルネサンス期(14〜16世紀)は、古代の文献(ヘロドトスやディオドロス・ シケルスなど)を通して、エジプト文明への関心が再燃、ヒエログリフを 読み解こうとする試みも出ましたが、実際の文字体系を理解していたわけでは なく、多くは空想的・象徴的な解釈にとどまりました。 特に、アタナシウス・キルヒャー(1602–1680)は、ヒエログリフに大きな 関心を持ち、自著で解読を試みましたが、内容はほとんど正確ではなく、 神秘的な象徴解釈に偏っていました。 そして、1799年、ロゼッタ・ストーンの発見(ナポレオンのエジプト遠征中) によって、真の解読への道が開かれました。ロゼッタ・ストーンは、1799年に エジプトのロゼッタでナポレオンのエジプト遠征隊によって発見された石碑で、 ヒエログリフ、デモティック、ギリシャ文字の3種類の文字で同じ内容が 書かれていました。内容は、プトレマイオス5世の時代に起きたエジプト 南部の大反乱について書かれたもので、この石碑によって、古代エジプトの 文字が解読され、歴史研究に大きく貢献しました。 ロゼッタ・ストーンのギリシャ語はすぐに訳され、それを元に トーマス・ヤングとジャン=フランソワ・シャンポリオンがヒエログリフの 解読に挑みますが、トーマス・ヤングも良い線まで入ったのですが、 あと一歩解読できず、シャンポリオンは、コプト語の知識を活用し、1822年に ヒエログリフの実際の文字体系、音声を表す記号であることやそれが何か を表すための発音しない文字があることなどを解明しました。 現代でもインダス文字、イースター島の文字のロンゴロンゴ、メロエ文字など 未解読の文字がありますが、プトレマイオス5世がロゼッタ・ストーンを残し、 そしてそれが1799年に発見され、シャンポリオンによってヒエログリフが 解読されたのは本当に奇跡だと思いますし、こうして再び読める文字になった からこそ、エジプト学が大きく発展していって、色々なことが解明されて いったので、本当に良かったですし、嬉しいことです。 またこうして、発掘や文字の解読によって新しい発見や色々な謎が解明される ことを願います。 |
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write:2025/06/30 | rewrite:- | update:2025/07/07 |