Mirlard!(ミルラード!)
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STORY

 

第8話 戦争の傷痕 後編
「もういいだろ、そろそろ潮時だろ。」
5年前の戦争で少年エージェント、コンラッドを討ち取ってその遺体を
保存して5年間、自分のベッドの下に安置していました。
その遺体を前に一緒にいたレオンに言いました。
そこでレオンは、
「潮時って何が?」
「コンラッドの遺体を葬りに行くんだよ。いつまでもここに置いておく
わけにはいかないからな。それも可哀想だろ。」
「葬りにって、まさか、アストールまで?」
「そう、アストールまで。コンラッドの出身地は南にあるメルセウス
だからな。そこで葬りに行くんだよ。」
「そうか。でも、お墓とかどうするんだ?勝手に埋葬するわけにも
いかないだろ。」
「大丈夫、そこの土地はもう買ってある。前もって準備はしていたんだよ。
あとは国王に連絡して行くだけだよ。」
「そっか。」
こうして、ロアはコンラッドの埋葬に行くことを決めました。
そして、国王にその申請を出しました。

数日後、国王メルティフェクス7世から呼び出しがかかりました。
ロアは、ローラン、レオン、フィム、ペティオスを連れて王の前で
謁見しました。
「このメンバーで行くつもりです。」
「そうか分かった。あとそれと、頼みがある。」
「はい、何なりと。」
「この国書をアストール国の国王に渡しておいてくれ。」
「はい、分かりました。」
「くれぐれも頼んだぞ。」

それからさらに数日後、ロアは、アストール王国へと向かった。
そして、アストール国王、ランディネイト7世と謁見し、国書を手渡した。
5年前、ミルラード王国とアストール王国は戦争を行ったが、この戦争は
ミルラード王国側がアストール王国の首都コルネシアを陥落させたことで
勝利した。そして、戦争終結の条約が結ばれ、以下のことが決まった。

・アストール王国は、ミルラード王国に5億ウェルスの賠償金を支払うこと
・国王クラウディウス5世は、ミルラード領のセントヘレイア島に流し、
 マグニス教信者の者を国王に即位させる。
・以後、アストール王国は、ミルラード王国に戦争を仕掛けないこと

こうして、アストール王国は、ミルラード王国に5億ウェルスの賠償金を
支払った。このお金は、ミルラード側は自国のために3割、戦争で荒廃した
アストール王国の復興のために7割使用した。
そして、国王クラウディウス5世は、ミルラード領のセントヘレイア島に
流され、ミルラードの兵の監視のもと、生活することになった。
そして、国王に、マグニス教信者でクラウディウス5世の子の
ランディネイト7世が即位した。当初この即位には、プロテクス教側は
動揺を隠せなかった。自分たちの信仰が迫害されるのではないかという
不安であった。だが、ランディネイト7世は、マグニス教中心の政策を
推し進める一方、プロテクス教側も尊重する政策で互いに尊重するべきだと
いう理念をもって政策を行ったため、マグニス教とプロテクス教の争いは
戦争が始まる以前よりも少なくなった。そして、国自身もミルラード側の
復興支援によって戦争が始まる以前よりも豊かになった。

そして、ロアが手渡した国書には、両国の友好を喜ぶものとコンラッドを
戦争で殺したことへの哀悼と謝罪の文章が書かれていた。
そして、国王ランディネイト7世がロアに答えた。
「このたびは、国王の誠意ある国書、大変喜ばしく思う。また。返書を
したためよう。ところで、ロアよ。そなたはコンラッドを葬りに行く
そうだな。」
「はい、敵だったとはいえ、まだ子供。自分の手で葬ってやりたいと
思いました。」
「もう、お墓は作ってあるそうだな。」
「はい、ここの土地を買ってもう作ってあります。」
「そうか、では頼んだぞ。」
「はい。」

そうして、ロアは首都コルネシアの南にあるメルセウスの村へと
向かうことになった。メルセウスの村の村のはずれでコンラッドの家族が
ひっそりと暮らしていた。現在、コンラッドの姉のメティアが住んでいた。
そして、ロアは、メティアに話しかけた。
「あなたが、メティアさんですか?」
「はい、そうです。」
「私は、ミルラード王国の国王陛下に仕える魔剣士のロアと申します。
このたびは、あなたの弟のコンラッド君の遺体を引き渡しに来ました。」
そして、この後、ロアは戦争でコンラッドを討ち取ったその経緯と
そして、今回コンラッドの遺体を葬りたいという意向を伝えた。
それを聞いたメティアはただ茫然としていた。そして、弟を失った
悲しみに包まれた。だが反面、こうして弟の遺体が帰ってきたことへの
安堵の思いもあった。
「…戦争は、非情なものですね…。」
それにロアは何も答えられなかった。そして、メティアはコンラッドの
遺体を抱えて、
「少しの間、二人きりにさせてくれませんか。」
「分かりました。」
そして、メティアはコンラッドの遺体を抱えて自分の家の中に入っていった。
家の中では、メティアが悲しみに泣く声が少し聞こえてきた。
そしてしばらくして、それが祈りの声に変わっていった。
30分ほど、メティアはコンラッドと共にいたと思う。それから、自分の家から
出てきてロアたちに話しかけた。
「この度は、ご苦労様でした。そして、コンラッドのためにここまで遺体を
持ってきてくださってありがとうございます。お疲れでしょう。今日はここで
お泊りください。」
そうして、ロアたちはメティアの家で一晩泊まることになった。

翌日、コンラッドをお墓に葬る日が来たロアたち一行と、そしてメティアは、
コンラッドのお墓がある場所へと向かった。すると、ロアたちは目を疑った。
なんと、そこにいるのは、国王の一行であった。国王は、わずかな供を連れて
この村にやってきたのである。国王の一行が止まると、国王が出てきて
ロアたちの方にやってきた。
「これからコンラッドを葬りに行くのだな。我が国のために尽くしてくれた者。
私も立ち会いたいと思いここまでやってきた。」
「はい…。分かりました…。」
突然のことでただ、茫然となっていた。
そして、コンラッドをお墓に葬る時になった。お墓は、地下に階段があり、
通路になっていた、その通路の奥には、小さな部屋があり、食器やテーブル、
椅子も置いてあってそこで1人が生活できるようになっていた。
そして、部屋の端にはコンラッドの遺体を納める棺が置いてあった。
ロアがコンラッドの遺体を棺に納めようとしたが、悲しみが極まって
コンラッドの遺体を抱きしめてしまった。そして涙を流し続けた。
「コンラッド…済まないな…。本当はお前を殺したくはなかったんだよ…。
だが、この戦争を終わらせるためには、仕方がなかったんだ…。
とはいえ、おまえはまだまだこれからだったのに…。本当に済まない…。
…戦争は、本当に非情なものだよな…。」
「ロア…。」
レオンは思わず行った。そんなロアの姿に皆は茫然としていた。

その時、
「もういいよ、ロア。そんなに泣かないで。」
「えっ!!」
突然の声にロアは驚いた。そして、皆が驚き、戸惑い始めた。
すると、コンラッドの亡霊が現れたのだった。これには、皆が驚き、
恐れていた。
「そんなに驚かないでよ。みんながここまでしてくれて嬉しくなって
ここまで出てきたんだ。決して恨んでなんていないから…安心してよ。」
そして、ロアのそばにやってきて、
「ロア、もういいよ。僕は大丈夫だよ。恨んでも悲しんでもいないから
もう元気を出して。…あの時のことは戦争。どちらかがやらねばやられるんだ。
だから仕方ないよ。君は間違っていないよ。むしろ君のような強い剣士に
討たれたのは良かったと思ってるんだよ。だから、もう元気を出して…。」
「コンラッド…。」
そして、ロアとコンラッドは互いに抱き合った。そしてロアはひたすら
泣き続けた。
数分後、コンラッドは、国王に向かって言った。
「あの戦争でこの国を勝利に導けなくてすみませんでした。でも、今
この国がこうして良くなっていってることは嬉しく思います。
どうか、これからもこの国をよろしくお願いします。そして、
僕のためにはみんなで祈って下さい。そうすれば僕は救われます。」
「今までこの国のために本当にご苦労だった。ありがとう。そして
済まなかった。分かった。皆で祈ろう。そのために神父と牧師を2人づつ
連れてきた。さあ、皆でコンラッドのために祈ろう。」
そして、ロアたちとメティア、国王たちは皆でコンラッドのために
祈りを捧げた。

そうして、ロアは国王ランディネイト7世の返書を持ってミルラードへと
帰っていった。そして、ロアが買ったコンラッドのお墓の土地は、
国王ランディネイト7世が買い上げることになった。
write:2015/08/30 rewrite:− update:2015/09/13