Mirlard!(ミルラード!)
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STORY

 

第7話 戦争の傷痕 前編
ミルラード王国の首都グリュックの城だが、その地下には、2000人ほどの人が
住むことができる小さな部屋がある、そこには、国王に気に入られたものや、
名のある戦士、剣士、騎士が部屋を持っている。ロアも前国王に気に入られ、
現国王の学友となっていたため、城の地下に部屋を持っている。
そこにレオンがノックして訪ねてきた。
「入るよー。」
中に入ってみると、ロアは大きな箱の前でお祈りをしていた。
「何やってるの?」
「ああ、ちょっとお祈りを。」
「そっか。で、この箱は何?」
中を見てみるとレオンは驚いた。大きな箱は棺で、中には首を切り落とされた
子供の遺体が入っていてさらに、パーマネント・エールという水に遺体が
浸かっていた。パーマネント・エールは、特殊な水で、よく保存液として
使われ、食べ物の保存、遺体の保存などに使用されていた。その水に物を
漬けておくとそのままの状態で腐ることもなく保存され、またその水に
漬けておいた物を取りだして放置しても数日間はそのままの状態で
腐ることもなかった。
「ロア、児童わいせつ殺人でもやってたの?」
「何でそうなる。」
軽く突っ込むロア。
「そうではない、この遺体はコンラッドだ。」
「コンラッド?なんか名前は聞いたことはあるが…。」
「そうか、レオンはアストール国との戦争には参戦してなかったからな…。
このコンラッドは、アストール国の少年エージェントで天才だとも
言われていた。それを俺が討ち取ったんだよ。」
「そっか。」
それから、ロアはミルラード王国とアストール王国との戦争について
レオンに語った。

ミルラード王国とアストール王国との戦争は、エルストック暦741年に
起こった。その当時の国王は、ミルラード王国はバシレイオス2世、
アストール王国はメルティス9世、2人ともその国では大王と呼ばれていた
人物だった。当時のミルラード王国とアストール王国は、それぞれ、
東の大陸に侵攻し、領土を拡大していった。ミルラード王国の領土の拡張は
建国から一進一退を繰り返し、バシレイオス2世の時に領土は最大のものと
なったアストール王国は北から、ミルラード王国は南から侵攻していたが
741年には、お互いの領土が隣接し、お互いにさらなる領土の拡大を
狙ったため、戦争となった。最初は小競り合いの戦争だったが、
徐々に拡大し、激戦となったのは5回あった。

最初は、744年で、それぞれが大軍を率いて東の大陸で大激戦を繰り広げた。
それは、互いに疲弊するもので、それでも決着がつかず、再びに小競り合いの
戦争に戻ってしまった。そして翌年、バシレイオス2世が死去。
ミルラード王国は、ユスティニアヌス4世に引き継がれた。
ユスティニアヌス4世はこの戦争に消極的だったため、あまり大きな手に
打って出なかった。そのため、講和条件に無理な条件を吹っかけられることも
あった。そのために心労がかさんだ国王は、3年で退位、弟の
ケレスティヌス7世に譲られることになった。この、ケレスティヌス7世は
戦争を早く終結するべく、749年から750年にかけてアストール王国の本土に
侵攻した。だが、敵の防衛は堅く、攻めきることはできなかった。
これが2度目の激戦である。

3度目の激戦は、今から7年前の777年。ケレスティヌス7世より2代後の
ニーズロット6世の時だった。この時は、アストール王国の国王も
メルティス9世からクラウディウス5世に代替わりし、先代に負けないよう
軍備を整えてミルラード王国の本土に侵攻した。この時はコンラッドの
諜報戦略と情報撹乱おかげでの首都グリュックの近くまで侵攻され、
ミルラード軍を大いに苦しめることになった。だが、辛くも防衛できた。
それ以来、ニーズロット6世は、軍備の強化に力を入れ、諜報戦略にも
力を入れることになった。

それから2年後、今から5年前の779年の6月。グリュックに引っ越して
きたばかりのロアもこの戦争に参戦することになった。そしてその1ヶ月後、
4度目の激戦が起こった。最初は北西にある森の中から侵攻してくるという
情報が入っていた。そこでミルラード軍は、森の手前でアストール軍を
待ち構えていました。ところが、アストール軍は西の海岸から侵攻して
きました。
「しまった、謀られた!!」
そこで、急いで、引き返し、森から少し離れた場所で野戦となり、
凄まじい戦いが繰り広げられました。剣や槍の音、攻撃魔法の音や波動が
ひどく入り乱れていました。

しばらくして、ロアは、少年がナイフを持って勇敢に戦っているのを見ました。
そこでロアはその少年を追いかけました。そして、少年に追いつくと、
「待てっ!!」
少年は待ち止まって振り返りました。
「何だい、あなたはミルラード軍の方と見受けられますが。」
「そうだ。君はエージェントのコンラッドだな。もうこれ以上の策謀は許さんぞ。」
「そうだよ。僕はコンラッドだ。あなたは?」
「俺はミルラード軍の魔剣士、ロア=シュタイナーだ。」
「そうか、ではいくよ!!」
そして、コンラッドはナイフでロアに飛び掛かりました。これにロアも剣で応戦し
時には攻撃魔法も使いながら戦いました。こうして二人の一騎打ちは始まり、
だいたい30分ほど戦い続けました。二人ともへとへとになりながらも戦い続け、
コンラッドが攻撃を仕掛けて来た時、ロアはとっさに剣を振り、コンラッドの
ナイフを弾き飛ばしました。攻撃の手段がなくなったコンラッドは両手を上げ、
「参った参った、降参だ。」
そしてコンラッドは、後ろを向いてくつろいだ姿勢で座り込みました。
「お、おい、どういうつもりだ?」
「参った。僕の負けだよ。ま、今まで首の皮一枚で助かってきたところも
あるけど、もういらないや。」
「…。」
「ロア、僕の首をはねてくれないか。」
「えっ!?」
ロアは驚き、こう返した。
「いや、君は戦争が終わるまで捕えておくが、命までは助けるよ。
君もまだ子供だ。将来性がある。これから立派なエージェントになるだろう。
だから死を覚悟する必要はないよ。」
「いや、首をはねてくれ。そうしないと僕はここから逃げて君の国を
不利な状況に陥れる。今までも捕えられたことはあったが、命だけは
助けられて、そのたびに逃亡して脱出してはアストールに逃げ帰り、
相手の国を滅ぼしたり悪い状況に陥れてきたんだ。だからこの国を
思うならお願いだ。僕の首をはねてくれ。」
「…。」
「さあ、早く!!」
「……分かった。子供を殺したくはなかったが、そこまで覚悟を
決めているなら、やるよ。」
ロアは、殺す覚悟を決めて剣の刃をコンラッドの首筋に差し出した。
「いくぞ。」
「ああ。」
そして、ロアはコンラッドの首をはねた。ロアはコンラッドの首を抱え
ながらも悲しい思いに浸っていた。

数日後、戦況は好転し、ミルラード軍は、アストール軍を国外に追い出した。
それから、打ち取った敵の首実検が行われた。そして、ロアもそれに
参加していた。たくさんの戦士、騎士たちがたくさんの敵の首を持ってきて
それぞれの手柄を検証していました。そして、ロアの番が来て、3つの首を
差し出しました。その中にはコンラッドの首も含まれていました。
検証者は驚き、
「ロ、ロア、お前、これ…。」
「ああ、天才エージェントと呼ばれたコンラッド君だよ。俺が打ち取ったんだ。」
「いや、いくら厄介な敵だからって、おまえ、子供を殺したのか…。」
「…。」
コンラッドの首を見た者たちは騒然とした特に騎士たちから騒然とした
声を聞いた。そして、どこからか野次が飛んだ。
「子供を殺すなんていくらなんでも非情すぎるぞ!!」
「騎士道の風上にも置けないやつだ!!」
そのような非難の声が多く飛び、大騒ぎになった。この時すでにロアは
腹の底が煮えくり返っていた。「また騎士道か。鬱陶しいな…。」
そんな思いでいっぱいだった。そこでロアは怒って群衆に叫んだ。
「じゃかましい!!子供だろうが、女、年寄だろうが立ちはだかるものは
殺さねばならない!!やらねばやられる!!それが戦争だ!!
それをお前ら騎士道騎士道って、甘っちょろいんだよ!!」
この声であたりは一斉に静まり返った。
「騎士道なんかくそ食らえだ!!そんなもの犬にでも食わしてしまえ!!」
この一言に起こった騎士の一人が、
「何だと、言わせておけば!!そこに直れ!!俺が成敗してくれる!!」
「やるか!!いつでも相手になってやるぜ!!」
今にも決闘になりそうな雰囲気だったため、検証者が止めに入り
「待て待て、味方同士で争うな。ここは抑えてくれ!!」
そして、この場は収まりがついた。
「ロア。2つの首については手柄として記録しておくが、コンラッドは
まだ子供だ。これだけは認めるわけにはいかん。我が国は騎士道精神に
則って女、子供、年寄は殺していけない。助けなければならないということに
なっている。ここは分かってくれ。」
「分かったよ。じゃあ、2つの首については頼んだぜ。」
そう言って、コンラッドの首のない胴体を抱え、コンラッドの首はふろしきに
包まないまま髪をつかんでその場を去っていった。そして、そのまま
グリュックの城の中にある自分の部屋に帰った。そして、コンラッドの遺体を
棺に納め、パーマネントオイルに浸した。そして、その棺の上で泣き続けた。

さらに数日後、国王ニーズロット6世より呼び出しがかかり、ロアより
国王からのお言葉があった。
「ロア、首実検の時は大変だったな。うちの騎士たちは子供を殺しては
いかんとか騎士道精神を守るものが多いんだ。その点は許してやってくれ。」
「はい…。」
「しかし、コンラッドの諜報活動は少々やっかいだった。今回は本当によく
討ち取ってくれた。褒美は私が直接渡そう。」
「ありがとうございます。」
こうしてロアは国王から直接褒美を頂いた。
それから、数か月後、アストール王国との戦争はミルラード側の勝利に
終わった。

こうして、この戦争のいきさつをレオンに語り終わった。
「こんなわけなんだよ。」
「そうだったんだ…。ロアにもこんな時があったんだな…。」
レオンもロアの話をしみじみ聞いていた。
こうしてロアもその時のことを思い出したりしていた。
write:2015/02/01 rewrite:− update:2015/02/16