2012/07/10 大英博物館 古代エジプト展
今回は主に「死者の書」が展示されていました。
「死者の書」とは、死後に再生・復活ができるように必要な呪文を
パピルスに記したものでミイラと一緒に墓に入れられたものです。
初めはピラミッド内部に呪文を記した「ピラミッド・テキスト」に始まり、
後に棺の内部や外に呪文を記した「コフィン・テキスト」に変わり、
そして「死者の書」へと変化していきます。

今回は様々な「死者の書」や「コフィン・テキスト」が記された棺などが
数多く展示されていました。あと、今まで「死者の書」は全て
ヒエログリフ(聖刻文字)で記されているものだと思っていたのですが、
後の時代になるとヒエラティック(神官文字)で記されているものも
あるのですね。

今回の見どころは「グリーンフィールド・パピルス」なのですが、
これは、第3中間期、第21王朝末期から第22王朝初め頃に女性神官
ネシタネベトイシェルウのために作られた全長37メートルにおよぶ
世界最長の死者の書で、現在は保管上の理由から96枚のシートに
分けられています。

死者の書は200章以上があるのですが、そのパピルスには100章以上
記されており、ミイラになって埋葬される所、口開けの儀式、
冥界への旅を邪魔するヘビやワニを退治する呪文、オシリス神の前での
審判、罪の否定告白の文、楽園「イアルの野」などが描かれていました。
そして、通常死者の書には記されない「天地創造」の場面も
描かれていました。この書の壮大さには本当に驚かされました。
本当に見ていて綺麗でした。そして、この書も一部ヒエログリフが
ありますが、基本的にはヒエラティックで書かれていたのですね。

あと、印象的だったのがカノポス壺の模型でこれはミイラから内臓を
取り出さなくても副葬品として一緒に入れるものなのですね。
内臓を取り出さない場合、カノポス壺は用意しないものだと思いました。

今回の展示ですが、古代エジプトの死生観が見えてきて大変面白かったです。
死生観は古代エジプト独特のものですが、神の前での審判があり、
生前良いことをすれば再生・復活、悪いことをすれば第2の死という点は
今の死生観の良いことをすれば天国、悪いことをすれば地獄という考え方に
とても共通していると思いました。

興味のある方は9月まで開催していますので是非見に行ってみると
良いかと思います。
write:2012/07/11 rewrite:- update:開設日


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