| ●展示品(遺物)● アクエンアテン王の像頭部ですが、凛々しい感じでした。王様の特徴をよく
 現していますね。あと、土器片は、色々な形の物がありますね。
 
 1974年には、マルカタ南遺跡のコム・アル=サマック(魚の丘)で
 魚の彩色階段が発見されたのですが、その模型が展示されていました。
 ここは、アメンヘテプ3世がセド祭(王位更新祭)を行った建造物という
 ことで、復元された階段が奇麗でした。プサメティコス2世の彫像は、
 白くて力強い感じですね。しかし、第26王朝の遺物があるとは…。
 あと、レリーフや奉献土器が展示されていました。
 
 陶棺は、マルカタ南遺跡の「魚の彩色階段」付近で発見されていますが、
 顔が付いていてシンプルですが、ひび割れてだいぶボロボロになっていますね。
 中には白骨化したミイラが入っていたこのことで。セヌウの埋葬は、
 箱型の木製棺で青い色が美しかったですし、ミイラマスクは、奇麗で不思議な
 感じでした。カーエムケトの座像は、顔が微笑ましくて奇麗でした。
 
 シャブティは、今回のは小さくて可愛い感じでした。供物卓は、シンプル
 でした。ミイラ布は断片で絵が描いてありますね。青い彩色土器は、断片
 ですが、うすい青で奇麗でした。ファイアンス製の青い断片ということで。
 オストラコンは、まさに茶色で色々な文字が書かれていましたね。
 
 コインは、青銅で錆びている物が多いですね。日乾レンガは、初めて
 見ました。縄のような物が混ぜられて作ってるなという感じはありました。
 
 アンフォラは、赤みがあってシンプルですが、ひびが入っている物が多い
 ですね。深鉢・皿・碗は、シンプルでした。あと、小麦は、石ですりつぶして
 小麦粉にする所が再現されていました。
 
 ●パネル●
 パネルには、「ジェネラルサーベイ(一般調査)」について書かれており、
 北のアレキサンドリアから南はアブ・シンベルまで調査して遺物を採取して
 今でも貴重な研究資料となっていることが書かれており、ピラミッドや
 スフィンクスをはじめ、調査の写真が色々とありました。
 
 あと、古代エジプトの世界観のパネルがありました。セヌウの墓の発見に
 ついては、ダハシュール北遺跡で未盗掘の墓が発見されたことや、
 セヌウは、中王国時代の軍人だということが書かれていました。
 
 「棺」のパネルには、木棺時代が墓の役目をしており、土で作られた陶棺は
 比較的身分の低い人が使用したことが書かれていました。「ミイラ」のパネル
 には、永遠の命を受けるには、カー(生命力)とバー(人格)が合体して
 
 「アク」になる必要があると書いてありました。「市場」のパネルでは、
 貨幣や紙幣といった通貨はなく、物々交換(バーター)で、「デベン」という
 交換の基準・価値を測るものがあると書いてありました。「ランプ」のパネル
 では、プトレマイオス朝以降にテラコッタランプが使用されたことが書いて
 ありました。
 
 ワインについて書かれたパネルがありましたが、ワインは、生産量が少ない
 ため、王族や上流階級のみが飲めること、ツタンカーメン王墓には、
 26点のアンフォラが発見されたと書いてありました。
 
 ●映像●
 あと、吉村作治さんの映像があり、小さい頃、ハワードカーターが著した
 「ツタンカーメンの秘密」という本を読んで、それからエジプト考古学者を
 目指し、「第2のカーターになろう」と思ったことが放映されていました。
 
 1966年にエジプトを踏破し、「ジェネラルサーベイ」は日本人初でした。
 マルカタ南遺跡を早稲田隊が発掘し、1974年1月に作業員親方のハムサが
 魚の丘の彩色階段を発見したと放映されていました。今まで3年間何も発見
 できなかったのですが、魚の丘を発見できたのはラッキーだったと言って
 おられました。あと、運が良い人だと思えば運は来ると言っておられました。
 
 2005年1月にセヌウのミイラを発見したこと、1981年にクルナ村では200体の
 ミイラを発見したことが放映され、未盗掘で名前まで分かっているものは
 わずかと言っておられました。
 
 それから、人工衛星を利用して画像解析をして遺跡を発見し、1996年には、
 ツタンカーメンの側近のイパイの小型ピラミッド付き貴族墓を発見し、
 ツタンカーメンの銘入りの指輪とアンケセナーメンの銘入りの指輪を発見し、
 1987年には、ピラミッドの先端のキャップストーンを発見したと
 放映されていました。あと、ハイテク技術や電磁波探査レーダーや宇宙線
 ミューオンを使う技術などの最先端の技術を使って様々な発見ができ、
 その技術をエジプト考古学に使って結果を出したのは自分たちが初めてだと
 いうことを語っておられました。
 
 ●総括●
 今回は吉村作治さん率いる早稲田隊による60年の調査の成果を発表する展覧会
 ということで、小規模な展覧会でしたが、様々な遺物や様々なパネルで
 古代エジプトの世界観が説明されていたり、これまでの早稲田隊の調査や
 発見が説明されていてとても興味深かったです。特に、魚の丘のの彩色階段や
 セヌウの墓の発見、ツタンカーメンの側近のイパイの小型ピラミッド付き
 貴族墓の発見が興味深かったです。なかなか面白かったので、早稲田隊による
 エジプト発掘の調査や結果に興味がある方は見に行かれることをお勧めします。
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