Mirlard!(ミルラード!)
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STORY

 

第10話 Gilles de Rais(ジル・ド・レイ)を愛する者たちへ
ここ数ヶ月の間、グリュックの町では少年の誘拐が相次いでいた。
このままではいけないと思い、国王もようやくその調査に乗り出した。
そこでロアたちも町に出て調査をするよう依頼された。
「私は良いとして、他のみんなが危ないんじゃないか心配だわ。」
ローランは心配そうに話していた。それでロアは、
「たぶん大丈夫だよ。いざとなったらみんな闘えるし。」
「平気だって。そんなヤツが来たらぶっ飛ばしてやるよ!!」
レオンは威勢よく言った。
「そうね。それなら安心だけど。」
ローランは言う。
「みんな一緒でも調査にならないから分かれてやろうか。」
そんなフィムの提案にみんなが乗った。そこでみんなはバラバラになって
聞き込みなどの調査を行った。レオンも調査を行っていたのだが、
後ろから何か気配がする。そう感じたレオンは後ろを振り向くが何もいない。
何事もなかったかのように調査をするが、しばらくして、やはり何か
気配がする。再度、後ろを振り返るといきなり鼻に何かを押し付けられた。
心地よい香りがして急に眠くなり、その場で倒れ込んで眠ってしまった。

数時間後、レオンは目を覚ました。気が付くとどこかの地下室に
閉じ込められていた。そして、手は後ろ手に縛られ、左足は、
鎖でつながれていた。レオンは何がどうなっているのか分からなかった。
ふと、右を向くと、少年たちの生首が棚の上に並べられていた。
「げぇっ!!な、何だこれは!!」
レオンはこれを見て青ざめた。そこへ地下室に1人の老人が入ってきた。
「やあ、お目覚めかね。」
「あんたは何者だ!?これは一体どういうことなんだ!?」
「私はこの城の主でグリードと申すものです。」
「城の主?ここは一体どこなんだ?」
「ここはエルトラント城の地下室です。私がここにあなたを
連れてきたのですよ。」
エルトラント城とは、グリュックの町から30km離れた所にある城で
グリュックの町からは国王の住むグリュック城に次いで距離が近い
城で回りは小さな森で囲まれていた。
「エルトラント城だったのか…。しかし、俺をここに連れてきて
どうするつもりだったんだ?それに、あの子供たちの首は…。」
その時、レオンは気付いた。グリュックでの誘拐の犯人がこの老人だと
いうことに。
「そうか、お前がグリュックでの誘拐の犯人なのか。」
「ああ、そうだよ。こうやってお前さんみたいに男の子を連れてきては
殺していたんだよ。そして、特に可愛い男の子はこうして首を切り落として
飾っていたんだよ。生首のコレクションだ。」
レオンはその時思った。とんでもないやつに連れてこられたものだと。
「ああ、君も可愛いねぇ。私の生首のコレクションに加えさせてもらうよ。」
そう言って釘の付いた木製のバットを手にしていた。

「えっ、ちょっと待て!!」
そして、クリードは、木製のバットを振り回し、レオンに襲い掛かった。
左足に付いた鎖は長かったので、避けるには充分な長さだった。
そして、巧みなフットワークでクリードの攻撃をかわしていった。
時には、クリードの足を引っかけて転ばせたりもしていた。
だが、すぐに起き上がり、またレオンに襲い掛かった。このようなことが
10数分続いていたが、レオンが少し油断してしまった。そこへ
クリードが、レオンの頭をバットで殴った。レオンの頭から血が噴き出し
のたうち回っていた。そして、クリードはようやくレオンを捕まえた。
「へへへへへ。やっと捕まえた。さあ、覚悟しな。」
クリードはバットを捨ててナイフを持っていた。そして、レオンを
刺し殺そうとナイフを構え、レオンの顔を見つめた。
「だめだ、このままではやられる!!」
レオンは心の中でこう思った。だが、一向にクリードはレオンを刺す気配が
なかった。しばらくして、クリードはナイフを床の上に落としてしまった。
「おい、どうしたんだ?やらないのか?」
「だめだ、できない、できないよ…。」
そう言ってクリードは涙を流し始めた。
「君は12歳で死んだ私の息子に似ているんだよ。本当にそっくりだ。
とても殺せないよ…。」
「12歳だって、俺と同じ年じゃないか。」
「そうだったのか。妻が死んで、1人息子が死んで、この悲しみをどうする
こともできなかった。だから、男の子を誘拐しては殺して、首を飾って、
こうして悲しい気持ちを慰めようとしていたんだ。」
「そうだったんだ。でも、人を殺したって何にもならないぜ。あんたの
奥さんも子供も悲しむだけだぜ。」
「そうだよ。そうなんだよな。」
「俺で良かったら、話を聞くよ。」
「そうか、すまないな。殺そうとしていたのに。」
それから、クリードはレオンの傷の手当てをして今までのことを
レオンに話した。

あたりは夕方になっていた。誘拐の調査をしていたロアたちはグリュック城
の門の前で集まっていたが、レオンが帰ってこないことに気付いた。
数分待っても帰ってこなかった。
「レオン、遅いな…。」
ふと、ロアが漏らすと、ローランが、
「まさか、レオンまで誘拐されたのでは…。」
「今から探すのも遅いしな…。」
ペティオスが言った。そこへフィムが、
「実は、何かあった時のために、みんなに魔法の石を忍ばせていたんだ。
これでみんなの居場所が分かるんだよ。」
「本当か、それ!!良かった!!」
ロアは少し嬉しそうに言った。そして、みんなが魔法の石を探しては
見つけていた。そして、フィムは、大きな魔法を石を取り出し、それを
持って念じてみた。そして、レオンの居場所を突き止めた。
「これは、エルトラント城だ。レオンが縛られている。」
「何だって!?」
みんなが驚いた。そして、その映像をフィムが見せた。
「本当だ。」
「あの棚は何だ?生首が並んでるぞ。」
「あの老人が犯人か?」
「あの人、エルトラント城の城主のクリードさんだよ。」
ロアたちは、急いで国王メルティフェクス7世に報告した。
そして、先ほど魔法の石でみせた映像を国王にも見せた。国王は、軍隊を
派遣してエルトラント城を取り囲むよう指示を出した。

数時間後、もう既にあたりは夜になっていたが、エルトラント城は国王の
軍隊に囲まれていた。そして、ロアたちは急いでレオンのいる地下室に
向かった。地下室のドアを開けるとクリードと並んで座っている
レオンがいた。
「レオン!!」
「みんな、来てくれたのか!!」
「レオン、大丈夫か!!どうした、頭を怪我したのか?」
「うん、ちょっとね。」
そして、ローランがレオンを縛ったロープをほどいていた。それから、
ロアは、クリードのそばに行き、
「クリードさん、あんたは何をやっているんだよ。自分のしたことが
分かっているのか?」
「はい、そのつもりです…。」
こういって、クリードとレオンはことのいきさつをみんなに話した。
その後、クリードはひたすら泣き崩れた。

しばらくして、クリードは、ロアたちに庭に出るように言った。
そこには、クリードの息子の墓があった。そして、その墓に「醍醐」という
大和国で生産されているチーズの味がするミルク状のおいしい飲み物を
供えた。そして、祈りを捧げた後、
「この醍醐は、私の息子が大好きなものだったんだよ。本当に息子が
生きていたらこんなこのにならなかっただろうに…。」
しばらく、墓を見つめた後、
「もうこの辺でいいよ。さあ、私を捕まえてくれ。」
そして、クリードは、ロアと共に軍隊のもとへ連れていかれ、逮捕された。
そうして事件は解決した。男の子の首はその後の調査で見つかった
胴体と共に埋葬され、そこには慰霊碑が建てられた。
そして、エルトラント城の城主にはクリードの親戚の者が
新しい城主となった。
write:2017/02/25 rewrite:− update:2017/03/04