Mirlard!(ミルラード!)
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STORY

 

第5話 エルストック家お家騒動
エルストック領。ミルラード王国内にある場所で首都、グリュックより
東の端にある貴族エルストック家の領土です。

エルストック暦1年に世界を滅亡の危機に陥れ大魔王ガリアデクスを倒した
エルフの勇者エルストック。彼は、約1500年前に起こった世界大戦を
収束させるべく戦った人間の勇者メルティフェクス。約1300年前に起こった
2つの大国間の戦争で、戦場の最前線に立って兵士たちの救護を行い、
戦争の終結のために尽くしたドワーフの勇者アンリと共に3勇者と
呼ばれました。

そして、大魔王の打倒後、勇者エルストックのパーティに加わっていた
人間の戦士ニーズロットが、新しい国家「ミルラード」を建国し、
国王ニーズロット1世となる。勇者エルストックは、その地で貴族となり、
ニーズロット1世と共にミルラードの建国と発展に大きく貢献しました。
その時に与えられた領土がエルストック領で勇者エルストックの末裔が
代々その地を治めていました。エルフの攻撃系魔導師、フィムは、
そのエルストックの末裔として生まれ、この地で育ちましたが、
長い間、首都グリュックに住みついてエルストック領には
帰っていませんでした。

フィムの父、ラルフには4人の息子と2人の娘がいました。息子は、
長男のアーム、次男のディルム、フィムは三男、そして四男のディシェル、
娘は、長女のミスフィーネ、次女のランティアがいました。
娘は2人ともフィムの妹、ディシェルの姉でした。

3年前のある日、フィムの父、ラルフは、大事な話をするため、
グリュックに住んでいるアーム、フィムを呼び戻し、さらに6人の子供
全員を応接間に呼んだ。
「お前たちに話がある。」
ラルフがかしこまって子供全員に話をした。
「このエルストック家だが、ディシェルに継がせることにする。」
子供たちは驚いた。そして、口々に話を始めたがしばらくして、
「静かに。話を聞け。本当ならアームに継いでもらいたかったが、
家に帰って来いと言っても長い間帰って来ないでグリュックにばかり
住みついている。」
アームは答える。
「まあ、オレはグリュックで騎士道を極めたいんだ。だから家を継ぐのには
興味はないよ。」
ラルフはあきれて、
「何度も家を継いで欲しいから帰ってきて欲しいと言ったがこの通りだ。
そして、ディルムはこの家にいるがお前はあまりにも素行が悪すぎる。
このままではエルストック家の家名に傷が付くから継がせる訳にはいかない。
それから、フィムもグリュックにばかり住みついて全然帰って来ない。
なので、家はずっとここにいてくれたディシェルに継がせることにする。」
フィムはこう答える。
「まあ、オレの場合、貴族とか、お家のためにとか正直息苦しくて
退屈すぎてうんざりしてるんだ。だからオレはグリュックでゆっくりと
魔法の勉強をしていたいんだ。家なら、この地が気に入っているディシェルで
良いんじゃないの。」
「オレも同じく。素直で礼儀正しいディシェルが良いと思う。」
と、フィムに続いてアームも答えた。それに対してディルムは、
「ちょっと待ってくれよ!!オレはこの家の次男だ!!そのオレを差し置いて
四男のディシェルが継ぐってどういうことだよ!!普通はオレが
継ぐべきだろ!!」
それにフィムは答える。
「兄貴はやることがひどすぎるんだよ。以前は教会で嫌なことが
あったからって血まみれの馬の死体を投げ込むし、酒に酔っては、喧嘩は
絶えないし、その上、相手をボコボコに殴ったあと川に捨てたことも
あったよな。」
さらにアームが続ける。
「あと、娼婦の館に入り浸りの噂も絶えないね。そこで暴れて店を
めちゃくちゃにしたとかね。」
そんな発言にディルムが激怒。
「うるせえ!!それ以上言うな!!」
「とにかくディルム、そんな訳だからお前に家を継がせるわけにはいかん。
私はディシェルに継がせるからな。」
そう言ってラルフは応接間を後にした。
このことに不満を持ったのはディルムでした。とにかく、この状況を
打開しなければ…。そう思っていました。

数日後、ディルムは、密かにブランディーナという素性の妖しい女性に
会っていた。彼女は、毒薬作りの名人でディルムは、ブランディーナに
飲んでもその死体からは検出されない毒を多額のお金で受け取った。
その毒の効果を試すために、ディルムはブランディーナと2人で
慈善病院を訪れ、患者に優しい言葉をかけながら毒を入れた果物や
お菓子などのお見舞いの品を渡していった。そして、数日後、患者は
毒のために無くなるのですが、患者の死体から毒が検出されていないことを
確認すると、いよいよ、父ラルフと弟ディシェルに復讐をすることにしました。

ついに父ラルフを毒殺する日が来た。ディルムは、自分の息のかかった従者に
ラルフの食事に毒を盛るよう命令した。そして、運ばれた食事を口にすると
ラルフは急に苦しみ出し、寝室に入って横になっていた。そして、数時間後、
別の従者がラルフの寝室に入ると、ラルフは口から泡を吹き出し、
息絶えていた。急いで医者が駆け付け、死因を探ったが、心筋梗塞の診断を
下した。それから、ラルフの葬儀になったが、アームとフィムはこの
父の死を怪しんでいた。ひょっとしたらディルムがやったのではないか…。
2人はそんな話をこっそりとしていた。

父ラルフの葬儀が終わってから2ヶ月後、今度はディシェルが食事の後、
体調を崩して寝室に横になった。幸いラルフのようにすぐに亡くなることは
なかったが、ディシェルは盛られた毒のためにひどく苦しんだ。
父ラルフの死とディシェルの病状があまりにも似ていたことに
アームとフィムは不審を感じていた。そこで2人は身の安全のために
家を離れて身を隠し、密かに探偵に依頼して事の詳細を話し、調査依頼を
出した。

数日後、病気が長引いていたディシェルは従者を通して兄のディルムを
呼び出した。そして、ディルムにこう告げた。
「兄さん、僕はもうこの通り、急に病に冒されて日に日にひどくなっていく
一方だ。もう長くはないだろう。」
「何を言ってるんだ、ディシェル!!大丈夫だよ。これから回復していくよ。」
「だから兄さん、以前に父さんは僕に家を継ぐように言ったけど、
ぼくはもうダメだ。この家は兄さんが継いでくれ。」
「そうか、分かったオレが立派に継いでいくからな。」
「頼みましたよ。」
そんなディシェルの言葉にディルムは内心ほくそ笑んでいた。それでやっと
家督が転がり込んでくる…。あとはディシェルを毒殺するだけ…
そう思っていた。だが、その矢先、
「そうないかないぜ!!バカ兄貴!!」
フィムがディシェルの寝室に駆けつけてこう言った。そして、アームも
続いて駆け付けた。

「あんたが家の相続権を握るためにブランディーナって女と組んで
父さんを毒殺し、ディシェルも毒殺しようとしたことはもうバレてるんだよ。」
「その上、慈善病院で患者に毒を持って効果を試していたことも判明済みだ。」
「お前本当に見下げ果てたヤツだな!!バカ兄貴!!」
ディルムは平静を装って、
「何をバカな事を言ってるんだ。さすがにオレもそんな恐ろしいこと
できるわけないじゃないか。」
「嘘をついても無駄だよ。ブランディーナって女は捕まって全てを
白状したんだからな。あと、探偵に依頼してこれまでの兄貴の行動を
調べさせてもらったよ。」
そして、手に持っていた調査報告書を床にばらまいてディルムに見せた。
この内容にさすがのディルムもうろたえた。と思うと、高笑いをして、
「ああ、その通りだよ!!家督が欲しくて父さんを殺し、ディシェルを
殺そうとしたよ!!ここまでバレたらしょうがない!!
お前ら全員殺してやる!!」

そして、持っていた杖を持って暴れ出し、杖を大きく振りまわした。
この杖はディシェルを打ちすえ、アーム、フィムをも打ちすえた。
が、フィムは打ち所が悪く、杖が右目を強打した。
フィムは血みどろになった右目を抑えてのたうち回った。
それから、ディルムは雷の魔法を使ってディシェルを殺そうとした。
が、ディシェルがとっさに風の魔法を使ってディルムを弾き飛ばした。
ディルムの体は本棚に当たり、その衝撃で本棚の上にあった中型の胸像が
ディルムの頭上に落ちてきた。頭を強打したディルムはのたうち回り、
破れかぶれに爆発の魔法を使った。その衝撃で寝室の壁は崩壊し、
ディシェルは外に放り出された。さらに、天井が崩れ落ちて大きな破片が
ディシェルの左足を直撃した。あまりの激痛にディシェルは苦しみ、
のたうち回った。あまりの悲惨な光景にアームはたじろいていた。
「み、みんな大丈夫か!!」
「ああ、何とか…、くそ、バカ兄貴め…無茶苦茶なことしやがって…。」
何とか起き上ったフィムは、ディルムに催眠の魔法をかけた。
これによってディルムは落ち着きを取り戻し、眠りについた。
「しばらく寝てろ、バカ兄貴が…。」
フィムはこうつぶやいたが、そのとたんに膝をついてしまい、
アームにお願いした。
「兄貴、とにかく救急隊を呼んでくれないか…。あと、警察も…。
そして、さっきの書類も警察に渡してくれ…。」
そういったあと、フィムは気を失った。
アームは急いで、救急隊と警察を呼び、3人を病院へと運ばせた。
そして、警察には、ディルムの犯行の調査結果が記された書類が渡されました。

病院に運ばれた3人だが、フィムは目の治療を受けて数日後に退院したが、
右目が失明していた。ディシェルは、左足の治療を受けたが、時すでに
遅く、左足は壊死していて、左の足首から少し上の所を切断することに
なりました。そして、1ヶ月後に退院しましたが、その後は、義足や
ロフストランドクラッチ(前腕部支持型杖)を使って生活することに
なりました。そして、ディルムは、頭部の治療を受けたが、その間に
警察に逮捕され、窓やドアに鉄格子のかかった部屋で治療することに
なりました。そして1ヶ月後に退院し、刑務所に送られることになりました。

ディシェルの退院からさらに1ヶ月後、今度は3人が国王ニーズロット6世に
呼び出された。フィムは右目が失明したが眼帯などは付けないで、
ディシェルは、まだ義足ができていなかったので左足がない状態で謁見した。
「今回は大変だったな。しかし、本来ならアーム、そなたがが継げばこのような
ことにはならなかったのだぞ。私に忠誠を誓い、騎士として仕えてくれるのも
嬉しいけどな。しかし、アームもフィムも家督を継ぎたがらないのは
仕方ない。ディシェル、そなたが継いでくれるか。」
「はい、私は四男なので本来なら私が継ぐべきではないでしょう。ですが、
兄2人もこのように了承してくれましたので、立派に領土を治めて
いきたいと思います。そして、このようなお家騒動は起こらないように
務めたいと思います。本当にこのような寛大なる措置をして頂き、
ありがたく思います。」
そして、アームとフィムも家督を継がなかったこととお家騒動になったこと
を謝罪し、そして、お家騒動の仲介をしてくれたことに感謝を述べました。
「ところで、アームはこれからも私に仕えてくれるのか?」
「はい、私はこれからも騎士道を極めていきたいと思います。ですので、
これからも陛下に仕えていきたいと思います。」
「そこまで言うのならば分かった。これからも頼むぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
「フィムはどうするのだ?」
「私は、これからもグリュックで図書館の副館長をしつつ魔法の勉強をして
より優れた魔導師になりたいと思っています。」
「そうか。フィムもしっかり頼むぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
「あと、これからは兄弟仲良くやってくのだぞ。」
「はい、分かりました。」

その後のディルムだが、裁判によって、ブランディーナ、ラルフに毒を盛った
ディルムの従者と共に死刑の判決が下され、後日3人共処刑されることに
なりました。
こうして、国王の仲介によってエルストック家のお家騒動は終了しました。
write:2013/12/22 rewrite:− update:2013/12/29