Mirlard!(ミルラード!)
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STORY

 

第1話 新国王の即位
エルストック暦784年ミルラード王国の城下町グリュックの町にある城で
王太子フィリップが、父国王ニーズロット6世より位を譲られ
新国王となりました。
「陛下、国王就任おめでとうございます。」
「うむ、ありがとう。」
「何とお呼び致しましょうか?」
この国では、2代目国王アルタクセルクセス1世以来国王に就任した者は
名前を変える習慣がありました。そこで、フィリップが答える。
「メルティフェクス7世と。」
それから、新国王メルティフェクス7世の戴冠式が厳かに行われました。
そして、新国王の友人でもあり、国王に仕える人間の魔剣士ロア、
人間の剣士レオン、エルフの魔導師フィムも参加していました。

戴冠式が終了後、場内の庭で就任祝いのパーティが行われていました。
ロア、レオン、フィムと戴冠式には参加できなかった人間の詩人のローランも
合流し、新国王と共にパーティを楽しんでいました。
「フィリップ、ついに国王になったな。おめでとう。あ、いや、今は王様と
お呼びせねばなりませんかね。」ロアは嬉しそうに語った。
「ありがとう。それは大臣たちがいる時だけでいいよ。今みたいな場では
今まで通りフィリップで良いよ。」
そして、フィムが国王に聞いた
「国王としての名前だけど、なぜ『メルティフェクス』にしたんだ?」
「『メルティフェクス』という名前の王様は在位は短いけど堅実に王としての
職務をこなしてきた人が多いからね。特に3世、4世は。
そして、さらに3勇者メルティフェクスにも勇気をあやかる形でこの名前に
したんだ。」
ローランが、「でもロアがいたんじゃ堅実には難しいんじゃない?」
さらにフィムが、「それもそうだな、ウォルマーニャの町にいた時は
騒動ばかり起こしていたからな。」とからかう。
そしてそれにロアも反論する。「おいおい、お前たちに言われたくないぞ。」
それを国王がなだめる。「まあまあ、だが僕もまだまだこれから、そして
みんなの力が必要だ。これからも支えていってくれ。」
ロアは答える「分かりました。精一杯務めるよ。」
フィムが答える「俺もできる限り力になるよ。」
「ああ、よろしく頼むな。」
さらにレオンが聞く「しかし、名前だけど、『ユスティニアヌス』とか
『アレクサンドロス』とか『バシレイオス』にはしなかったんだな。」
「3大王か。さすがに偉大すぎて恐れ多いよ…。」

それから、グリュックの町から北東にある森に囲まれたモンスター系の種族が
住む町、モンストラスの町からの使者として城に来ていたゴーゴンの戦士
ペティオスがやってきて国王に挨拶をした。
「陛下この度はおめでとうございます。」
「ありがとう。モンストラスの町からの品々は素晴らしいものばかりで
嬉しかったぞ。お礼はたっぷりとしておいたからな。」
「はい、ありがとうございます。お礼の手紙と品々は他の使いのものに
渡しております。これを市長に届けてくれると思います。」
「そうか、頼んだぞ。」
「きちんとやってくれると思いますよ。」
そんな様子をロアたちが見ていたのだが、レオンとローランはペティオスを
驚きの目で見ていた。
「髪が蛇になっているのね…。」
「異様だな…。さすがモンスター系の町にいるだけあるな…。
そんな2人を見てロアが言う。
「そういえば2人共ペティオスを見るの初めてだっけ。モンストラスに
住んでいるゴーゴン族で以前にモンストラスに攻めてくる貴族が
来た時は共に戦った仲なんだよ。」
「そうなんだ…。」2人はさらに驚きの表情を見せていた。
そんな2人にペティオスは、
「モンストラスから来たペティオスです。よろしくお願いします。」
それからロアは2人を紹介し、これまでのいきさつを話したりしていた。
そして、ペティオスからは、
「僕、今日からこの町に住むことにしたよ。前々から人間やエルフが
住んでいる町に憧れていたんだ。」
これには、全員驚愕した。だが、ロアは「そうか、大変だとは思うが
これからもよろしく。これからは会いやすくなるな。」
「そうだね。こちらこそよろしく。」

それから、ロアたちはペティオスにグリュックの町を案内した。
町の主な店や名所などを紹介していた。しかし、どこへ行っても
ペティオスにたいしては驚きと偏見の目で見るものが多く、
小声で話をする者も多かった。そんな様子を見てペティオスは
じょ~~~~と涙を流し、
「皆様、ゴーゴンはお嫌いですか??」
町の人は、「嫌いじゃないけどその髪が…ね。」
「やはりこの髪が気になりますか…。」

そんなことをしているうちに、グリュックの町に盗賊団が現れた。
この盗賊団はディルラークを首領としてミルラード王国の各地を
荒らし回っていた悪名高い盗賊団だった。ロアたちはそこへ
駆けつけて、盗賊団の悪行を止めようとした。
「おい、この町で強盗をするのは止めろ。」
「なんだとこのやろう、因縁つけるのか?おい!!」
ディルラークはロアたちを睨みつける。そして、ローランとペティオスを見て
「なんだ、女に化け物がいるじゃないか。おい女、こんなガキ共と
一緒にいるより俺達と付き合わないか?」
「あんたたちみたいな無粋な連中とはお断りよっ!!」
「おい化け物、ここはお前と来る所じゃない。さっさと森に帰りな。
何なら俺たちが退治してやろうか。そうしたら俺たちは化け物退治の
英雄になるよな。」
「お前らさぁ、せっかく人間に生まれてきたのに人の道に外れたことを
していて恥ずかしくないのか?」
「化け物に言われたくないわ!!お前らがそんな態度じゃあ俺様の
この邪眼が黙っちゃいないぜ!!」
と言って自分の右目の眼帯を指した。町の人々は恐れ、ざわめきだした。
空に盗賊がフィムに向かって、
「おい、そこの魔法使い、右目が見えないのか?だったらなんで
眼帯しないんだ?眼帯しないと怖いし、眼帯はかっこいいぜ!!」
「遠慮しとく。眼帯は好きではないのでな。このままにしている。」
「貴様!!眼帯を侮辱したな!!ならば邪眼の力を見せてやる!!」
と言って眼帯を取って右目に力を入れた。人々は少し恐れ慄いたが、
実際は何も起こらなかった。そんな光景を見てロアは、
「何だ、何も起こらないじゃん。あんたの邪眼とやらも大したことないね。」
「うるさいっ!!俺の邪眼は力がある設定なの!!おい、お前たちも
倒れろ!!それから作者、これはファンタジーの物語だろ!!
俺の目に力がある設定にしろよな!!」
「何だ、中二病かよ…しょうがないなぁ…」
「黙れ黙れ、まずはこの化け物から畳んでしまえ!!」

それから盗賊2人がペティオスに襲いかかってきた。ペティオスは
バードロッドを振りかざし、2人を倒した。が、倒した1人が、
ペティオスの左足をつかみ、後ろに転ばせた。
「まだいたのか…」
左足をつかんだ盗賊の頭をバードロッドで殴り、気絶させた。
立ち上がろうとした瞬間、ディルラークがペティオスに短剣を向けて
近づいて来た。
「よくもうちの子分をやってくれたな。ただじゃおかねえぞ!!
この化け物が!!」
そしてペティオスに短剣をちらつかせていた。
その時、ペティオスの目が光った。ディルラークがそれを見た瞬間、
下半身が石化を始めた。それにディルラークは驚いた。
「あわわわわわっ!!足が石になっちまった!!お前も邪眼使い
だったのか!!」
「いや、邪眼使いではない。僕は見ての通りゴーゴンだから、人や生物を
石化する能力があるんだよ。ゴーゴン族ならみんな普通にできるから。」
「そ、そうだったのか…。」
「そうだったのかって、そんなことも知らずに因縁つけてきたのかよ…。」
ペティオスは呆れ果てていた。
それを見ていた盗賊2人がこんな会話をしていた。
「ところでゴーゴンってどんなのだっけ?下半身が馬のやつだっけ?」
「違うよ、下半身は蛇で人を誘惑する能力持ってるやつだよ」
「それもっと違うだろ!!歌を歌って船を沈めるやつだよ!!」
それを聞いたペティオスはじょ~~~~と涙を流し、
「だんだんゴーゴンからかけ離れていくのですが…。船沈められないし…。」
さらにそれを聞いたロアが呆れて、
「おいおい、それはケンタウロスにラミアにセイレーンだろ。
お前らモンスターの知識がその程度でよく盗賊をやっていけたよな。」
「ええいうるさいっ!!こいつらみんな畳んじまえ!!」
その時レオンはいきり立って、
「そうこなくっちゃな!!」
そして、盗賊との市街戦が始まった。ロアは剣を中心に魔法も使って、
レオンは剣で、フィムは魔法を使って、ローランは弓矢を使って、
そして、ペティオスはバードロッドと石化を使って戦った。
ロアは近くのあるお店を巻き添えにしながら戦っていた。
盗賊たちは、この5人の敵ではなく、しばらくして全員倒されていった。

「あらかた片付いたな」
ディルラークは驚き、
「お前ら何て強さだ…。」
この戦いは少し市民も巻き添えにしていた。この戦いを見ていた市民の1人が、
「あの、ゴーゴンさん。市民を1人石化させてますが…。」
「あらま、やってしまった…。」
といってペティオスは市民の石化を解除した。
「ひどいよー。俺まで石にしてー。」
「ごめんごめん。間違えちゃったよ。」
ペティオスは苦笑いで謝った。
お店を壊された店主が、
「俺の店をどうしてくれるんだ!!商売あがったりだ!!」
それにロアは答える。
「ならず者たちを退治したんだから良いだろ。」
「ま、まあ、そうだが…。」
「お店は後で弁償してやるから。」
「はい、そうして頂けるなら…。」
それから、町の警備をしている騎士たちがやってきて盗賊たちを
捕縛していった。騎士の1人が5人に
「ご協力ありがとうございます。こいつらは各地で暴れ回っていて我々も
手を焼いていたのです。ようやく逮捕できて、そしてこの町の被害を
最小限に食い止められて感謝致します。」
それにロアは答える。
「どういたしまして。俺は暴れたかっただけなので。」
そうして盗賊たちは刑務所に連行されていきました。
盗賊たちをやっつけてくれた市民は大喜び。このことで市民もペティオスに
感謝し、ようやく受け入れられました。

それから、ロアたちは国王からも感謝の言葉とお礼をもらい、
再び国王の即位式のパーティを楽しんでいました。
write:2013/09/19 rewrite:- update:2013/10/01