10.教皇ベネディクト16世
今回の日記ですが、書いた内容の性格上、カトリックの教義にも触れなければ
ならないものでした。ですので、その点、ご了承いただければと思います。
また、この日記はカトリックの信仰を強制、強要するものではございません。
基本的に僕自身がカトリックが好きなので、「自分はこうありたいと
思っている」と考えていただければと思います。



教皇ベネディクト16世は、親族によれば、小さい頃から司祭になることを
夢見ており、第二次世界大戦後に神学校に入り、1951年に司祭に任命され、
1953年に神学博士号を取得。1977年にミュンヘン・フライジングの大司教に
任命され、同年パウロ6世によって枢機卿に任命されました。

1981年に教理省の長官に任命され、教皇位を受けるまでその地位にありました。
そして、2005年には教皇に就任しました。ドイツ人教皇は11世紀の
ウィクトル2世以来950年ぶりとなります。教皇の地位には7年10ヶ月在位し、
2013年に自らの意思で辞任することを表明しました。これは生前に自らの
意思で辞任した教皇であるケレスティヌス5世を意識してとった行動であると
推測する人もいます。

枢機卿時代は、教義に関しては保守派とも呼ばれ、教理省長官として強面の
イメージを一層強めたため、「甲冑枢機卿」、「大審問官」、「神の番犬」
という呼び名も生まれたほどです。

マリア崇敬については、カトリックにとって不可欠なものでイエスの信仰
とは矛盾しない、マリアが神たるイエスを産んだという逸話を神が人間の
近くにおられる証拠だとして、マリア崇敬こそイエス信仰への橋渡しだと
位置づけました。

これについて言えば、聖母マリアをはじめとする聖人の崇敬はとても
大切なもので、聖人を思い起こすことで神様に願いを取り次いで
もらうということを改めて認めた形なのではないかと思います。
マリア崇敬をはじめとする聖人崇敬は、教皇という制度と並んで
カトリックの良い所だと思います。

また、教皇については、「私が教会だ」というような専断者ではなく、
「神の奴隷の奴隷」、「恭順の保証人」、教会を自分の好きなように改変
するのではなく、神に従順であり続けるための保証人だと解釈しました。

これについては、第1ヴァチカン公会議で決議された「教皇の不可謬性」
に通じると思いました。「教皇の不可謬性」とは、信仰や協議に関して、
教皇の正式宣言には誤りがないということですが、これは、教皇はすべてに
おいて決して間違いを犯さないということではなく、実際は厳しい条件の
特定・範囲の制限を受けており、その発言がエクス・カテドラ(聖座宣言)
としてなされた場合にのみ限られるというもので、「教皇の不可謬性」も
含めて、教皇とは神に従順であり続けるためにその権威を行使する存在なの
だと思いました。まさに教皇が「キリストの代理人」と呼ばれるにふさわしい
存在だと思いました。

ベネディクト16世は、教皇になってからは、言葉による統治で、聖書など
古典を徹底的に読み込んだ圧倒的な知識とそれに裏打ちされた卓越した表現力
にあり、言葉の重みによって、カトリック教会を統治し、世界に影響を
あたえようとしました。そのため、ヨハネ・パウロ2世が世界各地を
飛び回って「空飛ぶ聖座」と呼ばれたのに対して、ベネディクト16世は、
「ロゴスの聖座」と呼ばれ、また「教授教皇」と呼ばれました。

また、教皇は在位中に3つの回勅を発布しています。性愛や愛の共同体と
しての教会が論じられている「デウス・カリタス・エスト(神は愛)」、
科学技術の暴走が人間の尊厳を侵害する危惧を表明した
「スペ・サルウィ(希望による救い)」、愛がグローバル化の惹き起こす
経済的、社会的、自然環境的諸問題との関連で論じている
「カリタス・イン・ウィリターテ(真理に根ざした愛)」があります。
さらに、4つ目の回勅「ルーメン・フィデイ(信仰の光)」を
起草していましたが、辞任したため、教皇フランシスコが引き継いで
発布しました。

ヨハネ・パウロ2世が「空飛ぶ聖座」と呼ばれ、群衆を熱狂させる
ゼスチュアに長けているが、ベネディクト16世は、「ロゴスの聖座」と
呼ばれ、群衆に微笑みを浮かべて両手を上げる程度という所で2人は
とても対照的だと思いました。また、ベネディクト16世は、厳格で頑迷な
イメージがありますが、僕は逆にそういう所が人間的な感じがして
とても好感が持てますし、回勅については、様々な角度から愛を論じており、
司牧活動の中心に愛を据えている所が親しみを持てます。そして、
難しい教義を分かりやすく説明することに長けていたという点で本当に
素晴らしい教皇だと思いました。今は辞任して名誉教皇となりましたが、
今の教皇フランシスコを支えていく存在として今の任務をまっとうして
もらいたいと思います。
write:2016/09/11 rewrite:- update:2016/10/09


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